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清泉メッセージ
201609.24
No108「『わたしにはできない』という魔法」
ここ一週間ほど雨が続き、だんだん秋らしい気候になってきました。秋といえば、スポーツ、食欲、芸術と様々ですが、読書がしたくなる季節でもありますね。
今日は読書の秋に向けて、イギリスのファンタジー作家をご紹介します。みなさんは、ダイアナ・ウィン・ジョーンズを知っていますか?スタジオジブリが映画化したことでも知られている、『魔法使いハウルと火の悪魔』の作者です。彼女は約40年間とてもユーモラスなファンタジーをたくさん生み出続けました。彼女の作品は日本語にも多く翻訳されています。
彼女の作品は魔法が溢れる非日常が舞台です。しかしそこには、現代を生きる私たちへのメッセージが込められています。その中の1つは、自分自身の固定観念、思い込みから解放され、別の角度から物事を見ることです。たとえばハウルの主人公ソフィーは、自分は長女だから何をやってもうまくいかないというのが口ぐせです。なぜなら西洋のおとぎ話では、成功するのはたいてい末っ子なのです。おまけに魔女に呪いをかけられて老人に姿をかえられてしまいます。実はこの出来事もなりたいじふんと、実際の自分の間で悩む若い女性の比喩であると考えることができます。ソフィーありのままの自分と向き合うことができるようになったとき、呪いはとけます。
私たちも気づいてないだけで、ソフィーのように自分自身に魔法、呪いをかけていることがあるかもしれません。「わたしにはできない」、「もうだめだ」、「わたしはこんな人間だ」、そうやって自分のことを決めつけて挑戦するのをやめてしまったことはないですか。わたしはあります。みなさんには自分自身で自分の可能性を狭めてほしくはありません。
中学、高校の6年間は20代にむけて体力も知力も飛躍的に成長する時期です。自分が思う以上にみなさんは可能性にあふれています。ぜひ自分に秘められた可能性を大切にしてください。ダイアナは非日常なファンタジーを通して、私たちの可能性にときに厳しく、ときに優しく寄り添ってくれています。
(2016年9月24日、放送朝礼より。 写真出典:映画「ハウルの動く城」「ソフィー」:
www.howl-movie.com/character/index.html )