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201803.07
校長講話_94 永六輔さんのこと
皆さんは永六輔という人を知っていますか。作詞、ラジオ番組のパーソナリティー、テレビ番組の司会、また、著作活動と多彩な才能で様々な分野で活躍し、永六輔さんの作詞した『上を向いて歩こう』は世界的なヒットになりました。『遠くへ行きたい』『見上げてごらん夜の星を』は皆さんもきっと耳にしたことがあるでしょう。一昨年の7月7日、七夕の日にお亡くなりになりました。
永六輔さんは度々長野にいらっしゃり、北野文芸坐、藤屋御本陣、ホクト文化ホールなどで、落語会やトークショーなどをなさいました。私も何回か出掛けて行きました。初めて、永さんの会に行って驚いたことがあります。開演30分前が過ぎ、お客さんが集まってくると、永さんがまだ幕の下りたステージに現れて、色々なことを話すのです。長野の印象であるとか、最近経験した面白いことであるとか、まじめな政治の話など、一瞬のうちに会場の人々を話しに引き込んでしまいました。ステージが始まる前から、お客は大笑いをして大満足です。お客様を喜ばすことに徹した方であったように思います。
さて、先週の月曜日の信濃毎日新聞に、元マラソンの日本代表で、現在はスポーツジャーナリストの増田明美さんのインタビュー記事が出ていました。マラソンの現役引退後、増田さんはラジオでパーソナリティーを務めますが、失敗の連続だったそうです。結婚に際しての「結納」を「けつのう」と読んだり、お正月の「門松」を「もんまつ」と読んでしまったり、自信はどんどんなくなっていきます。そんな時、ラジオから流れる永六輔さんの語りを聞きます。「ラジオなのに、景色が見え、匂いまで伝わってくる」と感じたと言います。増田さんはすがるような気持ちで、永さんのところに行って「喋ること」について教えを請いました。永さんとの出会いを振り返って、増田さんは「神様の贈り物のような出会い」だったと言います。素敵な表現です。
現在活躍されている増田さんの解説には、永六輔さんの教えが詰まっていると言えます。今度、増田さんの解説を聞きながら永さんはどんなことを教えたのだろうかと考えてみたいと思います。図書館に何冊か永六輔さんの本を展示して頂きました。きっと皆さんの心に届く言葉に出会えると思います。是非読んでみて下さい。
図書館前に設置された永六輔コーナー