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校長講話

202105.06

校長講話_NO.182「歴史を学ぶ意味」

 皆さんはこれまで歴史を勉強して来ましたが、歴史は何のために学ぶのだろう、と考えたことはありますか。勉強というよりも、歴史について調べたり、歴史的な場所を訪れたり、歴史関係の本や歴史小説を読んだりするのが好きだ、という人もいることでしょう。私自身はどうかと言えば、昔の人、例えば古代の人たちがどんなことを考えていたのか、ということに興味があります。また、旧約聖書にはイスラエルの民の歴史が綴られていますが、この頃は面白いと思えるようになってきました。

 さて、今朝は「歴史を学ぶ意味」について少し考えてみたいと思います。ただ、とても大きなしかも幅の広いテーマですので、10人に尋ねれば10通りの答えが返ってくるに違いありません。数ある意味の一つ、ということでお話ししたいと思います。

 1946年の4月10日、この日が日本の歴史上何の日か分かる人はいますか。前年に長崎と広島に原子爆弾が投下され、戦争が終わりました。その翌年、4月10日は第1回の総選挙が行われた日です。特筆すべきは、日本の女性が歴史上初めて一票を投じたということです。日本では女性の参政権については大正デモクラシーの時期に運動が盛り上がりました。しかし、実際に女性が参政権を得るのは戦後になってからでした。1946年4月10日、ほんの76年前のことです。普通選挙法が制定されたのは1925年で、この時、25歳以上の全ての成年男子に選挙権が与えられました。女性が選挙権を得るのにその後、50年かかります。その権利を得るまでに多くの人の努力が重ねられたのです。

 今では選挙権を持つことは当たり前になり、最近では選挙の投票率は下がり続け、選挙自体に関心を持たない人が増えています。しかし、かつてその選挙権を持つことを理想として掲げた人たちがいたということ、そしてその人たちの大変な努力の結果として、今私たちは選挙権を手にしている、ということは知っていなければならないでしょう。歴史を学ぶ意味の一つは、そのような事実を知り、今あるもの、今手にしているものの価値を知ることではないかと思います。

 今度の日曜日には長野県で選挙が行われます。今回、本校生で投票できる人はごくわずかだと思いますが、自分だったら誰に投票するだろう、と是非考えてみてほしいと思います。日本の社会をより良いものに変えていくのに最も必要なことの一つは、選挙権を持っていることの意味を知り、まずは選挙に行くことです。このことを忘れないでいて頂きたいと思います。

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ハナミズキが咲きました。(5月1日撮影)

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