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清泉メッセージ
201406.05
No39「ある五人兄弟のパンケーキ」
清泉には、「清泉ファミリー」という言葉があります。清泉に集うものは家族的な集まりであり、そのような深い関わりを持つという意味でしょう。そしてそれは、シスター方の祈りに支えられているのだと思います。
私自身、本校に勤める中で、様々な先生方との関わりや、生徒との関わりを通して、何とも言えない深い絆を感じる瞬間があります。それは単なる仕事上の関わりということでは、表現しきれる思いではありません。
それではファミリー、「家族」とは何でしょうか。家族や兄弟というテーマで私の大好きな話があります。以前プロテスタントの牧師さんよりお聞きした、ある五人兄弟の話です。
戦後すぐの東京の下町に、ある五人兄弟がいました。彼らはいつもおなかを空かしていて、一番上のお兄ちゃんの作るパンケーキが彼らの唯一の楽しみです。焼きあがった後に5つに切り分けるのですが、いくらうまく切ってもきれいには切れず、大きさがいつも不揃いになります。そしていつも一番小さい一切れが一番下の弟、五郎の取り分です。育ち盛りの兄弟達には、パンケーキは小さすぎました。
ある日、いつものように一番小さい一切れをとった五郎は、涙を流しながらつぶやきました。『僕たち本当の兄弟なの?』幼い五郎の目には涙が一杯です。しかし、その言葉によって兄弟に変化が起きました。
一番上の兄が一番小さいパンを取りました。そして一番大きいパンを五郎に与えたのです。すると次男が驚きました。慌てて自分の分を少しちぎり、兄の皿に足しました。また、それを見た三男も自分のパンをちぎり次男の皿に、四男も三男の皿に。そして最後に五朗も自分の分をちぎって兄の皿の上に置いたのです。
皆の皿の上にはそれぞれちぎれたパンがのっています。同じくらいの分量になったパンが。無言でパンを食べているうちに、一番下の弟が、嬉しさでむせび泣き始めました。パンは涙でびしょぬれです。五郎はそこで一言、『僕たち、本当の兄弟だね』
本当の兄弟、本当の家族、とは何でしょうか。それは、単に戸籍や血縁関係のことを言うのではないでしょう。もしかしたら、それは、「自己を分け合い」お互いに思いやれる関係のことを言うのかもしれません。
5月には聖母奉献式がありました。神様の前にあって、私達が真の「清泉ファミリー」でありたいものです。今月は清泉祭が控えています。クラスで、部活、委員会で、また学校全体で、互いに「自分というパン」を分かち合えると良いですね。
(本文と写真は関係がありません)