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202110.01
校長講話_NO.193「前川喜平さんのこと その2」
今朝も今週の土曜日に行われる長野清泉講演会の講師、前川喜平さんのことをお話します。
皆さんの中には、図書館前の前川さんのコーナーから本を借りて読んだ方がきっといらっしゃることでしょう。私は読書というのは「きっかけ」が大事だと思っていて、ささいなきっかけでもそれを逃さずに本を読むと、新たな世界との出会いが生まれる、ということを、私自身、何度も経験しました。皆さんには、今回の長野清泉講演会を一つの「きっかけ」にして、是非一人でも多くの人に前川さんの本を読んでもらえたらと願っています。
私も、これを機に何冊か前川さんの本を読みました。読んでみての感想をお話しすると、これまで何十年も教育の場にいながら、日本の教育の世界で起こっていること、起きてきたことをいかに知らなかったか、ということに気づかされました。一つ、例を挙げると、現在前川さんがボランティアとして関わっている「夜間中学」です。ずっと前に山田洋次監督の「学校」という夜間中学を舞台にした映画を観たことがあります。面白いと同時に色々なことを考えさせられたはずなのですが、時の経過と共に記憶の底に沈んでしまいました。今、現在、「夜間中学」がいかに多くの人たちに必要とされているか、前川さんの本を読むまで気づきませんでした。そして、それだけ必要とされているのに、新聞やテレビで話題に上ることがいかに少ないかということも感じました。
また、「学ぶ」ということが、人が生きていく上で本当に大事なことなんだ、ということも分かりました。私たちは学校で学ぶことを当たり前のように感じ、何のために学ぶのか、ということをともすると改めて考えてみることをしませんが、大事な問いだと思いました。例えば、ここ何年にも渡ってSNS上で人を傷つけたり、誹謗中傷したりといった問題が起き続けています。学校できちんと「学んだ」人であれば、そのような問題となるような行動はとらないのではないかと考えるのですが、現実はそうではないようです。何のために学ぶか、人によって答えは様々でしょうが、私が前川さんの本を読んで強く感じたことは、私たちは「誰もが暮らしやすい社会・世界を作り上げていくために」学ぶのではないか、ということです。秋の夜長、「私たちは何のために学ぶのか」という問いに向き合ってみてはどうでしょうか。