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校長講話
201501.14
校長講話_14 「高倉健の映画」
私は1978年、37年前に大学に入学しました。大学に入学する時に、2つのことを決めたことを覚えています。一つは、出来るだけ沢山本を読むこと、もう一つは出来るだけ沢山映画を観ることです。当時は家庭用のビデオがまだ普及していませんでしたので、映画は映画館で観るものでした。
私は東京の大学に通っていました。東京にはその頃、名画座と呼ばれる映画館が、何十と、もしかしたら100以上ありました。今、思うと夢のようです。皆さんは名画座と言っても何のことか良く分からないと思いますが、映画館には2種類あったのです。一つは新作を上映するロードショー館で、料金も高いです。もう一つが、古い映画を上映する名画座です。料金はロードショー館の五分の一、あるいはそれ以下です。古い映画とは、第2次世界大戦前のまさに古い映画から、ほんの1、2年前のものまで様々ありました。
前置きが長くなってしまいましたが、大学2年の初夏、1979年の6月に早稲田松竹という名画座で高倉健主演の『幸せの黄色いハンカチ』という映画を観ました。この映画の公開は1977年の10月ですので、公開されて1年半程経った時期です。渥美清主演の『男はつらいよ 葛飾立志篇』との二本立てでした。早稲田松竹は高田の馬場駅を降りて、早稲田大学に向かって歩いて行く途中の右側にあり、今もあります。その日の映画館はほぼ満員でした。『幸せの黄色いハンカチ』が終わった時の映画館の様子を今でも覚えています。ほぼ満席の人たちの半分くらいの人が、鼻水を啜ったりして、泣いていました。しばらく席を立つ人もいません。私にとって映画館でのこのような体験は最初で最後です。
『幸せの黄色いハンカチ』を観て、映画の内容は勿論ですが、北海道という土地の持つ魅力に引き付けられました。映画を観た翌年の1980年の夏に北海道に3週間、一人で旅をしました。この北海道での3週間が私に旅の魅力を教えてくれました。言ってみれば、1本の映画、『幸せの黄色いハンカチ』が私を北海道への旅に導いたのです。映画の持つ力とは、大きなものだと思います。皆さんにも、是非、何か自分の物の見方を変えてしまうような映画との出会いを体験してほしいな、と思います。素敵な映画に出合ったら、私にも教えて下さい。
(写真出典:wttp://blogs.c.yimg.jp/res/blog-ae-a8/hiro_taka_oz/folder/1070826/96/64832496/img_0?1311166459)