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校長講話
201507.24
校長講話_29「100冊読めば、絶対小説が好きになる」
今日は、先日第153回芥川賞を受賞した、お笑いコンビ「ピース」の又吉(またよし)直樹さんのことをお話ししたいと思います。皆さんも興味を持ってこのニュースに注目したことでしょう。
又吉さんの受賞を伝える新聞記事に次の一節がありました。お読みします。
<18歳のころ、頭に浮かんだ「壮大な物語」を原稿用紙に書いてみた。10枚ほどで力尽きてしまったのだが、その日を境に、世にある小説に込められた技法や作家の創意をありありと感じられるようになった。>
という記事でした。小説を書こうとしたが、原稿用紙に10枚書いて、それ以上は書けなくなってしまった。これは又吉さんにとっては挫折であったかもしれません。しかし、その日から、小説の読み方が今までとは変わった。自分が読む小説を以前とは違った形で味わえるようになったというのです。
たとえ原稿用紙10枚であっても、小説を実際に書いてみたことで、小説の文章の技術的なことや、作家が読者を引き付けるためにどのような工夫をしているかがわかるようになったということです。そのことは又吉さんが、今小説を書く上で大きな力となっていることでしょう。まさに「失敗は成功のもと」、「災い転じて福となす」といったことわざの教える通りのエピソードであるようにも思います。
芥川賞受賞決定後の記者会見では次のことを言いました。
「面白い小説は沢山ある。僕の小説に合わない人も、他の小説は合うかもしれない。・・・100冊読めば、絶対小説が好きになる。そこまで頑張ってもらいたい。」
もう一度読みます。
「面白い小説は沢山ある。僕の小説に合わない人も、他の小説は合うかもしれない。・・・100冊読めば、絶対小説が好きになる。そこまで頑張ってもらいたい。」
私はこれ程力のこもった「読書の勧め」を聞いたことがありません。「本を読むのはちょっと」と言う人がいるかもしれませんが、又吉さんは「100冊読めば、絶対小説が好きになる」と言っています。又吉さんの言うことを信じて小説を読み始めましょう。
夏休みは沢山小説を読むのに良い時だと思います。大きい声では言えませんが、私も、時には教科書を脇に寄せて、小説を読み続けるということがあっても良いのではないかと思っています。良い夏を過ごして下さい。
(7月23日、放送での全校集会にて。)