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校長講話
201601.27
校長講話_41「受験の思い出」
宿坊ですので、当然のことながら、和室で個室はありません。6人から8人の相部屋です。宿坊では宿の方が気を遣って下さり、快適に過ごすことが出来ました。さすが、善光寺さんです。部屋の中央に卓袱台が置いてあり、そこでお茶を飲むことが出来る。四方の壁に向かって、座り机が置かれ、そこで勉強をするのです。私の部屋に3浪、つまり3年浪人生活を送っている受験生がいました。「俺は二十歳を超えているから。」と言って煙草を吸っている。卓袱台にはちゃんと灰皿が置かれていました。その3浪の人は、部屋の真ん中の卓袱台に居座り、誰かがお茶を飲みに行くとその人に話しかけて、話を始める。その話がとても面白いのです。気が付くと、私たちの部屋の8人は全員卓袱台の所に集まり、彼の話を聞いていました。夕食後は皆で銭湯に行って、帰って来て又話をして寝ました。おおらかと言えば、おおらかです。
私は、結局、どこの大学にも受からず、4月から東京の高田の馬場にある予備校に通い始めました。そこで、運命のいたずらか、今お話しした宿坊の部屋で一緒に過ごした8人のうちの一人に再会したのです。そして、彼との付き合いが始まりました。
古き良き時代の思い出話ですが、一つ、教訓めいたことを言うと、私たちが体験する出来事は色んな面を持っているということです。決して、一つだけの面ではない。今朝お話しした私の宿坊での体験も受験ということを考えると、快適ではありましたが、どうかと思う面もある。しかし、一人の友人と出会うことが出来ました。今、振り返ってみると、私にとってはその友人と出会えたということで、宿坊に泊まって良かったと思っています。どんな出来事も色んな面を持っている。これは、覚えておきたいことです。
(1月27日、放送朝礼より。写真と本文は関係がありません。)