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校長講話
201705.31
校長講話_79 「卒業生の詩歌集『ひとすじの道』」
先日、神奈川県三浦郡葉山町にお住いの茂澤様から、本校の図書館に詩歌集をご寄贈頂きました。
詩歌集の書名は『ひとすじの道』、作者は岡本きよみさんです。作者の岡本さんは、皆さんの大先輩で、本校を昭和31年に卒業なさいました。61年前の卒業生です。
岡本さんは、ご病気のため高校を卒業するのに5年かかりました。そして、20歳で大学の文学部に進学するも、22歳の時に、ご病気で大学をやめざるをえませんでした。
その後は、病院、療養所の入退院を繰り返し、5年前の2012年1月にお亡くなりになりました。
今回、ご寄贈頂いた詩歌集『ひとすじの道』に収められている歌は、1974年、岡本さんが38歳の時に、山梨県で一人、療養生活を送っていた時期に作られたものです。岡本さんは、どこに発表するつもりもなく、短歌を小さなノートに書いていきました。そのノートは、巡り巡って叔母様の手元に残されました。岡本さんが75歳になった時、一度も社会に出ることのなかった岡本さんの「生きた証し」として、ご親族の方が本にまとめて、出版なさったのです。
今朝は、その詩歌集『ひとすじの道』から、短歌を2つ紹介します。
ふと風の何かさヽやく時あればくすしき宝地の上にあり(p32)
しとしととむせぶ雨音聞いておる我が身いとしく胸のふるえる(p136)
御本は、図書館前の展示ケースに置かれています。皆さんが、手に取って一首でも、二首でも読めば、天国の岡本さんは喜ばれることと思います。是非、読んでみて下さい。