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201802.17
校長講話_92 聖心館の建築
皆さんは、「何かを得れば、何かを失う。」という言葉を聞いたことがありますか。「何かを得れば、何かを失う。」私には、ある真実を述べているように思えます。
授業で使うプリントを例に考えてみます。私が教師になった40年近く前は、皆さんに説明するのがちょっと難しいのですが、教材のプリントは、「ロウ原紙」と呼ばれる薄いロウで出来た紙に、鉄の筆と書く「鉄筆」で文字をカリカリと書いていました。今であれば、ワープロ入力し、印刷機にかければ30分程で済む作業ですが、当時は2時間ぐらいかかっていたように思います。
私の大先輩の英語の先生に、その手書きの文字がとても美しい先生がいました。漢字、ひらがな、アルファベット、どれもほれぼれするほど見事な文字でした。厳しい先生でしたが、先生のお作りになるプリントからは生徒への思いがしっかりと伝わってきました。
「何かを得れば、何かを失う。」印刷において、私達は便利さとスピードを得ましたが、それと引き換えに失われてしまったものが、確かにあるような気がするのです。ただ、それは、どちらがいい、どちらが悪いといったことではないのでしょう。人間の宿命のようなものなのかもしれません。
さて、皆さんもお気付きになっているかもしれませんが、聖心館の3か所に2種類のパネルが設置されました。建築技術の進歩と共に、今では失われてしまいつつある建築技術についてのパネルです。一枚は、ロッカールームを抜けて進み、聖心館1階のマリア像の下に、一枚は聖心館の西の階段の踊り場の壁に、もう一枚は保健室前、皆さんの絵が展示されている壁の向かい側に置かれています。
スピード優先ではなく、手間暇が充分にかかったかつての建築技術の一端に触れることが出来ます。パネルの解説を読んで、あらためてその技術が施された場所をみると、当時の職人さんのこめた想いが伝わってくるような気がします。
このパネルの解説は北野建設の方がして下さいました。是非、読んでみてください。