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校長講話
202010.15
校長講話_NO.159「大坂なおみさんの言葉」
新約聖書の最初の半分は、4つの福音書と、イエスが復活し、天に上げられた後の弟子たちの行動を記した「使徒言行(げんこう)録」から成っています。新約聖書の残りの部分の多くは、復活したキリストに出会い、それまでの生き方を劇的に変えたパウロの手紙から成っています。そのパウロの幾つかの手紙の中に、「フィリピの信徒への手紙」という比較的短い手紙があります。今朝はその中のパウロの言葉をまず皆さんに紹介します。フィリピの信徒への手紙、1章の9節と10節です。では、お読みします。
「わたしは、こう祈ります。知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、本当に重要なことを見分けられるように。」
今年、コロナウイルスの出来事の中で、私たちはパウロの言う「本当に重要なことを見分けられる」ことが、いかに大切であるかにあらためて気付かされました。
さて、先月全米オープンテニスで優勝した大坂なおみ選手の行動は全世界の注目を集めました。大坂さんは、全米オープンの前の大会では、8月26日のウィスコンシン州で起きた黒人銃撃問題に抗議し、27日の準決勝を棄権すると表明しました。その抗議文の中で、彼女は次の様に述べました。
「こんにちは。多くの皆さんもご存じのように、私は明日の準決勝に出場する予定でした。しかし、私はアスリートである前に、一人の黒人女性です。黒人女性として、私のテニスを見てもらうよりも、今は注目しなければいけない大切な問題があると感じています。」
大坂さんは、準決勝を棄権することで、黒人女性である自分にとって何が重要なのかを人々に伝えようとしたのだと思います。最初のパウロの言葉に戻りますと、彼女はパウロの言う「本当に重要なことを見分けられる」方だと感じました。私は今回の大坂さんの一連の行動から、多くのことを考えさせられ、多くのことに気付かされました。皆さんも是非一度大坂さんの抗議の文章を読んでみて下さい。
美術館工事現場の囲いに描かれた絵(10月2日撮影)