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清泉メッセージ
201310.12
No18「木の芽が伸びるのは、柔らかいから」
7年後のオリンピック開催地が東京に決まりました。9月に行われた最終プレゼンの中で、私は、義足の走り幅跳( と)び選手、佐藤真(ま)海(み)さんがのべた次の言葉に感銘を受けました。「私にとって何より大切なのは、私が持っているものであって、私が失ったものではない」。これは、「ないものを数えるより、あるものを数える」と言い変えてもいいと思いますが、絶望の中から「オリンピックに出る」という目標を見つけ、それをなし遂げた佐藤さんの言葉と笑顔に共感を覚えた人も多いと思います。
佐藤さんほど深刻なものではありませんが、私自身、思いがけない病を得た時、正直うろたえました。自分なりに描いていた人生設計に狂いが生じ、不確定要素が加わったからです。やがて、「時間や健康や可能性は無限ではなく、少しずつ掌(てのひら)からこぼれ落ちていること、人は誰でも、いただい命はいつかお返しするのだ」ということを実感を伴って気づきました。それからは、今日生かされていることに感謝し、「持っているものを大切に使いながら、今できることをしたい」と思うようになりました。
生徒の皆さん、一人ひとり生きる道は違います。「私は何がしたいのか」、「私はどう生きていきたいのか」、「そのために、私は今、何をすべきか」と真剣に考えてみて下さい。見えてくるものがあると思います。気づくのに遅すぎるということはありませんが、「すべての出来事、すべての行為には、定められた時がある」と聖書にも記しています。木の芽が伸びるのは、柔らかいからです。大切なその時を逃さないで下さい。
(写真と本文は関係がありません。)