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清泉日記
201211.27
No20「二つの放送朝礼講話より」
石川さんの車いす生活はそれからもずっと続くのですが、自分の車いすの故障を直したり、自分の障害や体の調子に合わせて車いすを自分で改良するようになりました。また、知り合いの車いすも直しました。これが口コミで伝わって、石川さんのところには多くの車いすの修理依頼がくるようになったと言います。「それでは・・」と石川さんは勉強して技術を身につけ、車いすを製造する自分の工場を持ち、従業員も雇えるようになりました。そうこうしているうちに、石川さんの車いすは評判になって、障害を持ってスポーツする人から競技用車いすの注文が入るようになりました。こうして、今では石川さんの工場で研究・開発した競技用の車いすを大勢の選手が使うようになっています。ロンドンパラリンピックの車いすテニスで金メダルを獲得した国枝慎吾選手、車いすレースの土田和歌子選手、車いすマラソンで活躍した選手、車いすバスケットなどの日本の選手はもちろん、外国の選手も大勢石川さんが開発した車いすで競技しました。
石川さんは、「障害のために家に閉じこもりがちになっていた人が、自分の作った車いすで外に出るようになったり、スポーツで笑顔を取り戻すのを見るのがとても嬉しい」とおっしゃっていました。自分が金メダルをもらう訳でも、褒め称えられる訳でもないけれども、自分の障害に負けないで、それを乗り越え、縁の下の力持ちとしてしっかりと他の人を支えている生き方はすばらしいと感じました。人は如何なる時も、決して諦めてはいけないという石川さんのメッセージを皆さんにもお伝えたいと思い、今朝この話を紹介しました。
11月になりました。日本には四季があり、秋は四季の中で最も豊かな恵みに溢れる季節です。大学時代に外国を訪ねるようになり、一年を通して夏のような国や、また冬の期間の長い国を訪れ、私は四季の存在する国に育った幸せを感じられるようになりました。
このことは作物だけでなく、私たち人間の成長にとっても同じことが言えると思います。秋は新年や春から取り組んできたことが実りを迎える季節なのです。表面的には見えない、人にまだ褒められたり、評価されたりしないところで、冬や春から新しいことに取り組んできたことが、ついに目に見える成果として現れる。去年とは全く違う自分になった瞬間を迎えるのです。秋をそのような大切な節目の時期にする。「実りの秋」という言葉に、私は先輩方のそのような決意が感じられるように思います。さらにその成長の中から、喜びと反省を冬に味わい、深く内省し、新たな決意を持って新年を迎えられることも素晴らしい日本の習慣だと感じます。このような習慣や感覚というのは、この国に四季が存在するからこそ生まれ出るものではないでしょうか。
周囲の山々では紅葉が見られ、秋も深まってまいりました。皆さんの秋が、実り多いものとなるよう祈っています。
今回は二回分の放送朝礼講話をご紹介しました。先日、ある卒業生の方より連絡を頂き、この「清泉日記」を楽しみにしておられることを伺いした。特に講話について励ましを受けたと記されてあり、こちらが大いに励ましを受けました。信州の秋深し。季節は冬へ。皆様の秋の残りの日々が守られますようにと祈ります。<担当:広報部_N> (写真: 玄関横のマリア様の御像)