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清泉メッセージ
201312.26
No24「清泉の生徒に理解してほしいこと」
私は股関節が人工関節で、4級の障害者手帳を持っている障害者です。医師からは、走らないこと、重い荷物を持たないこと、長時間立たないことを指示されています。こういう状態になったのは10年ほど前ですから、いわゆる中途障害者です。中途で障害を背負った人は、できていたことができなくなる悔しさや、支援を受けることを屈辱的に受け止めやすいと言われています。本当にそのとおりの時期が数年あって、私はいろいろと障害について考えてきました。
電車やバスで足が痛くなってくると、優先席に座っている人に替わってもらおうかなという気持ちと、もう少しがんばってみようという気持ちが交錯します。でもそろそろ、ためらわずに替わってもらおうと考えています。ためらわずに支援を受けるという思いは、障害者にとっては迷いの末の、しかし重要な到達点です。私も最初は迷惑をかけたくない、甘えてはいけないという気持ちからなかなか抜けられませんでした。ためらいなく支援を受ける姿は、健常者から見ると支援を当たり前にしていて鼻につくかもしれません。しかし障害者の多くはその支援でようやく普通の生活ができる現実を抱えており、それは権利であると考えることで、人としての誇りを保つことができるのです。その思いに至るまでの葛藤を想像し、理解してほしいと思います。
お年寄りや障害者は口にしないでも支援を求めています。がんばる人もいますが、バスや電車の中では席を譲ってあげてください。若い人や健常者にはわからない辛さがあります。席を譲るのは譲るほうも勇気がいります。照れくさいかもしれませんが、周りがどう観ようが、その人が喜んでくれればいいのだと思ってください。
席を替わる気持ちがない人は、優先席には座るべきではありません。お年寄りや幼い子を抱えている人の目の前で、若い人が無神経に優先席に座っている姿を見ると、怒りを通り越して悲しくなってしまいます。清泉の生徒は皆周囲への配慮ができる生徒であってほしい。どこの学校よりそのことを理解してほしいと思います。そうした理解者がいることが障害者にとっての希望なのですから。
(写真と本文は関係がありません。)