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清泉メッセージ
201402.28
No29「『日本の人口』と『パラメーター』と『ろうそく』と」
今日の朝礼のキーワードは、1 日本の人口は約1億2千8百万人、 2 パラメーター、 3 ろうそく、です。
さて、皆さんは人から感謝したくなるようなことを、してもらったことがありますか?思い浮かべてみてください。
ありましたか? 分からない問題を一緒に解いてくれた、道に迷ったときに助けてくれた、落とし物を拾ってくれた、ラーメンのチャーシューを分けてくれた、 など細かいことを言ったらきりがないほど思い当たることがあるのではないでしょうか。そのときの気持ちは先ほどのように「ありがとう」以外に「恩返し」できたらいいな、と思ったりしませんか。しかし、道に迷ったときに助けてくれた人を捜して恩返しをしたり、次にその人にチャーシューを分けたり、というチャンスはそうありません。ではどうするか。もしかしたら自然にしているかもしれません。恩返しではなく「恩送り」を。
そうです。宗教の授業で学んだように「されて嬉しかったことを人にもしなさい」 聖書の言葉で言うと、「人にしてもらいたいと思うことを、人にも(同じように)しなさい。」という箇所がルカ6章 31節とマタイ7章12節にかかれています。いいかえれば、「自分が助けられるばかりでなく、同じ助けを必要としている人にはあなたが助けなさい」でしょうか。
嬉しかったから次の人にも嬉しいことを伝える。それは慣れるまではちょっと恥ずかしい行為かも知れませんね。さて、もし、あなたが一生に1回だけ恩送りをしたとしましょう。恩送りを受けた人は必ず次の日に1回だけ恩送りをすると仮定すると、日本全体に恩送りが巡るのは1億2千8百万人÷365日で計算できます。答えは約35万年かかります。ネアンデルタール人が25万年前に出現しているので最初のネアンデルタール人がチャーシュー…ではなく恩送りしてもまだ10万年かかる計算です。ちなみに世界の人口は約70億人なので計算上、恩送りには2,000万年かかります。
ここで、条件を変えてみましょう。先ほどはあなたが一生に1回だけと仮定しましたが、それを1週間に1回恩送りをするとどうなるでしょうか。今週は右隣の人に恩送りをしたとしましょう。来週は左隣の人にするとしますが、右隣の人も恩送りをするので次の週に恩送りする人は計4人となります。つまり、1人、2人、4人、8人、16人、32人・・・となっていきます。では日本全体に恩送りが巡るのはどのくらいだと思いますか? 計算するとわずか196日後には日本の人口を超えます。世界すべてに行き渡るのはそれからたった42日後の238日、1年もしないで伝わるわけですね。
これが毎日1回、いわゆる「1日1善」を行うとどうでしょうか。高2の数学で数列を習った人は初項1、公比2の等比数列と気づきましたか。計算すると日本全体では28日後、世界全体では34日後となります。
さて、ここまでくるといろいろ突っ込みたくなる部分が出てきます。毎日はできないよ、何すれば恩送りなの、この計算は恩送りは許されるが恩返しはできない計算だけど物理的距離からそれは現実的ではないのでは、など。このような様々な条件のことをコンピューターの世界ではパラメーターと呼びます。物事をシミュレートする場合はこのパラメーターの種類や値で結果は大きく変わってきてしまいます。
皆さんはこのパラメーターの種類や値をどのようにすれば世の中がより明るくより過ごしやすくなるかをこの清泉で学んでほしいと思っています。いや、もう知っているのかもしれません。実行しているかもしれません。でも、まだの方は思い出してください。入学してすぐのオリエンテーションのことを。胸の高さにあったロウソクをみんなが頭上に掲げたときのことを。
暗かった部屋が明るくなり、自分の立っている場所が分かり、周りに大勢の仲間が見えてきたのを思い出してください。
皆さんの優しい気持ちを見える形にすることは、世の中を照らすとともに自分や自分のの周りをも認識することができます。自分を理解し、相手を理解するためにもアクションを起こしてみましょう。とりあえず今日、何か1つで良いので。
(本文と写真は関係がありません。)