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清泉メッセージ
201404.26
No33「信仰を捨てたらいかん」
カトリック教会は5月を聖母マリアに捧げられた月として記念します。本校でも5月31日の「聖母奉献式」で、創立者をはじめ、身近な方々への感謝の心を表わします。詳しいことは、宗教の授業で扱うとのことですので、今日は思うところをお話したいと思います。
私の故郷の五島は、朝鮮半島に近い、日本の最西南に位置しており、住んでいた地域は江戸時代に長崎の大村藩や外海地方のキリシタンが移住し、潜伏しながら信仰を守り継いだ所です。村には明治28年にフランス人宣教師によって建てられた教会と、日本で最初に造られた「ルルドの洞窟」があります。ルルドは、南フランスの町の名で、1858年に洞窟で聖母マリアが少女ベルナデッタの前に現れ、湧き出た泉で難病が治ったと言われています。村人は、五島の信者が持ち寄ってきた石を一つ一つ積み上げて洞窟を造り、聖母マリアを安置して、フランスのルルドの泉の水を注いだと聞いています。ここには今も日本各地から多くの巡礼者が訪れます。
日本では、キリシタン時代から聖母マリアに対する信心が盛んで、厳しい迫害と弾圧に耐え、未来に希望をもって親から子へ、子から孫へと信仰を伝えてきました。彼らにとって、人間ではあるけれど、神に取り次いでくれる助け人としての聖母マリアの存在は、どんなに大きな力であり、慰めであったことでしょう。父と母も祈りの人でしたが、特に母の聖母マリアに対する信頼は大きく、日々の祈りを欠かしませんでした。「よくもまあ、飽きもせずに!」とばちあたりなことを思っていました。私も五島を離れるまでは、毎朝、鐘の音に起こされて教会へ行きました。洞窟のマリア様を見上げながら、祈るというよりお話をし、イエスへのメッセージを託していたように思います。大人になって、信仰心がうすれていく私に「信仰を捨てたらいかん。祈りを忘れたらいかん。苦しい事があったらマリア様に祈ればよか」と何度も諭したものです。
信仰のバトンをどこかに置き忘れてきた私ですが、何かの拍子に母の声が聞こえると、せめて信仰の炎だけは消さずに生きていこうと思います。
(写真と本文は関係がありません。)