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清泉メッセージ
201503.12
No49「クリスマスの夜の療養所訪問」
保健室のHです。寒いですね。風邪やインフルエンザは、うたたねする人が大好きです。試験直前です、お互い気を付けたいものですね。
さて、待降節を迎えた今、私には思い出されるクリスマスの行事があります。
昔昔、そして私の知らないもっと前から本校には、クリスマスの夜の療養所訪問という行事がありました。
100人ほどの参加生徒は二列にならび、キャンドルを持って、聖歌を歌いながら、病棟をまわりました。1年間とか2年間とかの単位で長い入院生活を送られている患者さんが多かった時代です。本校の大先輩たちはクリスマスの夜、希望者で一杯になった貸し切りバス数台連ねて、長野療養所を訪問させていただくことが、恒例の行事でした。
隙間風の吹き込む木造階2階建の病棟の裸電球の廊下は、生徒の持つロウソクの灯と聖歌の調べで荘厳ですらありました。長く入院している方々は涙を流して手を合わせてくださる方もいらっしゃいました。ひとときだけでもやすらぎの時を持って頂けたのか、とてもとても喜んでいただきました。
この訪問は、学校行事から社会福祉部担当となり、その後役目を果たし終え発展的消滅した行事です。訪問をプレゼントして、気が付けばもっともっと大きな贈り物を患者さん方から頂けたと感じたのは、多分、参加生徒全員だったと思います。
宗教や宗派にかかわらず、すべてを大切な人間として行動されたマザーテレサの言葉をご紹介します。
「貧しさや病は大変なことです。しかしこの世の最大の不幸は、誰からも自分は必要とされていない、と感じることです。」
長い療養や孤独というものは、自分ですら自分を大切に思えなくなるほどのことです。いっときだけでも心がつながったという思いは生きる元気につながると私は信じています。そのようなことを贈り物というのかもしれませんね。クラスの人、家族、あなたの笑顔を、言葉を待っている人はたくさんいます。
(写真:社会福祉部の活動より)
編集者後記
このメッセージは、昨年の12月に行われたものです。お語りになられたのは、本校の養護教諭の長谷川久子先生です。この度、先生はご退職されることとなりました。先生のこれまでのお働きに感謝しつつ、春の訪れを覚えるこの時でありますが、クリスマスのメッセージをご紹介しました。長谷川先生、今まで本当にありがとうございました。