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清泉メッセージ

201504.16

No53「この苦難を乗り越えるために」

IMG_4616.JPG私が高校に入学したのは,今から20年ほど前。当時はまだ多くの高校で「応援練習」と呼ばれる行事が,新入生を対象に行われていました。

入学してまだ間もないある日の昼休み,まだ知らない顔ばかりで微妙な空気が流れている教室内に,突如応援団の先輩方が現れ,宣告します。
「一週間後の放課後,応援練習を行う。それまでに『校歌』『応援歌』など生徒手帳に乗っているすべての学校に関する歌を覚えてくるように。」と。

校歌以外は全く聞いたこともなく,曲も分からない歌を何曲も覚えてこいというのです。しかし,応援団の方々の得体の知れない迫力から,皆必死になってとにかく歌詞だけでも頭に叩き込みます。

そうして行われる応援練習の中では,覚えてきたばかりの曲に加え,『拍手』と呼ばれる応援に用いる手拍子の仕方を,放課後の校庭で『伝授』されるのです。同時に先輩や先生方への挨拶の仕方・態度・礼儀等についても教えられます。

歌は,歌詞は覚えていても,曲が着いたらお手上げです。音程なんて関係なくひたすら叫びます。『拍手』には似たようなものが多く,なかなかすぐには覚えられません。しかし,すべての歌,『拍手』が全員ぴったりと揃うまでこの「練習」は続けられます。その間,応援団の先輩方は全体をぐるぐると見回っており,それぞれの声や動きを確認しています。口パクや手を叩いている振りなどは許されません。声が枯れるまで全力で腹の底から声を出し続けます。手を頭よりも高い位置に上げ続け,全力で叩き続けます。こうした「練習」は各クラスで3回程設定され,最終日には1学年全体で行います。入学早々から非常に辛く苦しい洗礼であり,これを理由に学校を休もうという考えすら頭を過ります。

最終日。学年全体で行う練習では,人数が多いこともあって,なかなかうまく揃いません。最後の最後に真っ暗になった校庭で全員の拍手がそろったとき,応援団長は言います。「お前らよく頑張った!ここを乗り切ったお前らはもう大丈夫。お前らはもう多少の困難にはへこたれないだろう」と。

ともすれば,先輩による後輩へのシゴキともとられかねないこの行事は,時代の流れとともに姿を消しつつありますが,この辛い時間を乗り越えたときに,高校生として生活していく為の自信の様なものを植え付けて頂いたのだと思いました。

小さな困難も大きな困難も,人によって感じ方や程度に違いはありますが,辛い時間を乗り越えたとき人は何かを得て,少しずつ成長します。

我が家の長男もこの春から幼稚園に入園しました。今まで,昼間の時間をずっと母親と過ごして来た彼にとっては大きな試練の時を迎えています。最初は毎日泣いてばかりいましたが,少しずつ泣いている時間も短くなってきました。彼なりにこの苦難を乗り越えるために必死に頑張っています。

皆さんが一つひとつ困難を乗り越えて,大きく成長していけるようお祈りしています。

(写真と本文とは関係がありません。)

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