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清泉メッセージ
201306.24
No5「時代背景を知っていると」
私はお正月に大阪に帰省した折りに、映画館で「レ・ミゼラブル」という映画を見ました。ミュージカルの映画だったのですが、なかなかいい映画でした。何が良かったのかというと、映画のセットやカメラワークが素晴らしくて当時のフランスにタイムスリップしたような感じになりました。
この映画、フランスのまさに激動の時代が舞台なのです。フランスでは18世紀後半にフランス革命が起こり、王様が絶対的な権力を握っていた、いわゆる絶対王政が崩壊し、民衆による共和制が樹立されます。その後ナポレオンが登場して、自らが皇帝になると戦争を仕掛けて周りの国々を脅かしましたので、それらの国々は同盟を結んでフランスに対抗しました。ナポレオン没落後、フランスはルイ18世という王様が即位して再び革命前と同じ王政に戻ってしまう。フランス革命で自由・平等・友愛を掲げて戦った民衆はこれに納得するはずもなく、7月革命や2月革命を起こしてふたたび共和制になる。こんなふうにぐるぐると世の中が変わっていた時代でした。この映画はその7月革命の頃の19世紀前半が舞台になっています。
「レ・ミゼラブル」とちょうど同じ時代を描いた絵を一つ紹介しておきましょう。ロマン主義の画家ドラクロワが描いた「民衆を導く自由の女神」という絵です。絵の真ん中にはフランスの国旗を持った自由の女神が、その足下には革命で犠牲になった人の遺体が描かれています。自由の女神の横でシルクハットをかぶり、銃を持っているのがドラクロワ自身だといわれています。この頃は残虐な場面を描いた絵が多いです。まさに芸術は時代を映す鏡ですね。
映画や絵を見るとき、その時代背景を知っていると、深く、また楽しくそれらを味わうことができます。これはどんなことにも共通することで、たとえば、皆さんが修学旅行に行ってカステラを買ってきたとする。おいしいカステラをすぐに食べたい気持ちはわかりますが、ちょっとその気持ちを抑えて、カステラの箱の中に入っている、カステラの由来や歴史を書いた紙を読んで、それからいただくと、よりおいしくいただけるのではないでしょうか。
皆さんは毎日勉強や宿題で大変だと思いますが、学校で学ぶいろいろな知識は、のちのちの人生を豊かにするのに少しは役立つと思います。勉強することを嫌がらずに、前向きに取り組んで下さい。
(前に原稿を頂戴していたのですが、掲載するのが遅くなってしまいました。皆さま、梅雨空の中、ご自愛ください。広報部N、記す。写真引用:http://lesmiserables-movie.jp/)