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清泉メッセージ

201511.21

No67「光はやみの中に輝いている」

annraku.jpg先日のパリでの同時多発テロや、エジプトでのロシア航空機爆破、また昨日には西アフリカ、マリで起きたテロと、信じられないような悲しい出来事が起きています。世界中が新たなテロへの警戒をする中、日本においてもこれまでとはまた違った緊張感が走っています。報復の空爆も行われ、憎しみの連鎖はあまりにも複雑に入り組み、解決の糸口が見えないようにさえ思えます。ここ数日はかつてないほど「平和」を実現する難しさを感じます。

そんな中、ふと高校生の頃にテレビで知った人物を思い出しました。パブロ・カザルスというスペインのチェロ奏者です。1876年にスペインのカタロニア地方に生まれたカザルスは1973年に96歳で亡くなるまでの間、音楽のみならず、その思想的な意味で世界中に多くの影響を与え、亡くなるまで平和を訴え続けた人です。

内戦によりスペインから亡命し、当時のフランコ政権への反発から、長く公開演奏を止めていたカザルスですが、94歳の時、国連本部に招かれ、演奏する様子が、音声で残っています。故郷カタロニアの曲、「鳥の歌」を演奏するのですが、演奏の前のスピーチがとても印象に残っています。一部を紹介します。「私のふるさとの曲をひかせてもらいます。「鳥の歌」という曲です。カタロニアの小鳥達は、空に飛ぶときピースピース、ピースと鳴くのです。」内戦によって追われた故郷のことを思いながら、平和を訴えるメッセージが心に響きます。そして、演奏が始まります。音楽について素養のない私ですが、何か胸に迫るものがあります。

また、番組で紹介されたカザルスの母、ピラールの言葉も印象に残っています。カザルスの弟エンリケが徴兵されたとき、母ピラールはエンリケを国外に逃がします。その時にこのような言葉を伝えたそうです。「エンリケ、お前は誰も殺すことはありません。また誰もお前を殺してはならないのです。人は、殺したり、殺されたりするために生まれたのではありません」。カザルスは後に「もし、世界中の母親たちが自分の息子に向かって、私の母と同じことを言うなら、世界から戦争はなくなるだろう」という言葉を残しています。

さて来月にはクリスマスの集いがあります。今年度のテーマは「光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった」です。人類の争いというやみの中で、それでも輝く光に目を向け、歩んでいけたらと思います。

(11月21日、放送朝礼より、写真出典:http://www.nicovideo.jp/watch/sm13260176)

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