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清泉メッセージ

201603.31

No83「長崎・聖地巡礼にちなんで」

DSCF4822.JPG2年生の「聖地巡礼の旅」が近づいてきましたので、今朝は旅について少しお話したいと思います。私にとって、大浦天主堂から眺める長崎の港は、ふるさとにつながる原風景です。私は、中学・高校の帰省の際、大浦天主堂のミサに与かっていましたが、二十六聖人に捧げられた大浦天主堂が西坂の丘を向いていることや、「聖母子像」が信徒発見の時のマリア像であることなど、その時は知りませんでした。  
                
二十六聖人殉教はなぜ起きたのでしょうか。秀吉は1587年にバテレン追放令を出しましたが、宣教師の長崎居住とキリシタンの信仰を黙認しています。直接の原因は、1596年にサン・フェリぺ号が土佐沖に漂着した際、「スペインは領土拡大に宣教師を利用する」と言った乗組員の言葉です。秀吉は侵略への恐れとキリスト教への警戒心から、挑発的な活動をしていたフランシスコ会の宣教師を捕らえ、キリシタンの多い長崎でみせしめのため処刑するよう命じたのです。この時も、「キリシタンの信仰はその者の心次第」としたので、宣教師を除く11人には処刑を逃れるという選択肢もあったのです。一行は、彼らが「旅」とよんだ、京都から長崎までの1000キロもの道のりを裸足で歩き、420年前の昨日、2月5日に殉教したのです。罪人として処刑された26人の姿は、大勢のキリシタンの目にどのように映ったのでしょうか?その後、西坂の丘で数百人が殉教し、信徒発見までの7代250年の間、信仰をつないでいったのです。

東洋と西洋が出会い、教会とお寺が混在する長崎は、異文化に触れ、平和を学ぶには最適な場所です。見学で目にするものすべて、先人の遺産であり、メッセージなのです。原爆は負の遺産ですが、私たちに多くのことを語りかけています。目をそむけず、そこで生活した人びとの声を聞いて下さい。正しく聞き取るには、よく知ることが大切であり、事前研究の意味もそこにあると思います。旅の楽しさは、新しい価値観に出会うことです。高1の方はイギリス、中学生の皆さんは、奈良・京都、オーストラリアと向かう場所は違いますが、しっかり準備して思い出多い旅にして下さい。

(2016年2月6日、放送朝礼より。)

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