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清泉メッセージ

201605.07

No93「人を恐れず、天を恐れて」

DSC04784.JPG昨年度のNHK連続テレビ小説『あさが来た』で広岡浅子さんの生涯が一躍有名になりました。女性実業家として活躍し、また「女子教育」に熱意を傾け、尽力する姿が描かれました。彼女を取り上げた本の中から、広岡さん自身が執筆した本に出会いました。もともと『一週一信』という題名の自伝が、およそ100年ぶりに復刊されたのです。新たな題名は『人を恐れず、天を恐れて~一週一信~』。本校の図書館にも入れていただきましたので、関心のある人は読んでみてください。

その本では、テレビ小説ではほとんど描かれなかった、晩年のキリスト者としての彼女の姿が見えてきます。広岡さんがプロテスタントの教会で洗礼を受けたのは63歳の時。9名の10代の青年達とともに受けたというのですから、さぞかし目立ったことでしょう。しかし、人の目を気にしない、こうと決めたら突き進む人柄がよくあらわれているエピソードだと思います。

私は彼女の文章を引用した、この本の題名が何とも好きになりました。「人を恐れず、天を恐れて」。私たちは、ともすると、人を、もしくは人の目を気にしがちです。違う言い方をするならば人に好かれようとしがちです。他者とかかわり、生きていく上で、それは大切なことかもしれません。しかし、時として、人の目を気にすることで、判断や真実を見誤ることもあると思います。人の目、つまり人間の尺度は変わっていくのですから。時代や文化によってもそれは異なります。「人の目」や「人間の尺度」はやがて「正義」という衣を着て時に暴走していきます。歴史的にも、人間はさまざまな過ちを「正義」の名のもとに犯してきました。宗教がらみの過ちも数多くあります。おそらく、「正義」そのものを見誤ったからでしょう。ただ、そういった過ちの歴史の中でも、「人の目」や「その時代の尺度」を恐れず、時代を超える「正義」を貫いた人達がいます。その「正義」をどのように呼ぶかは様々です。

広岡さんは「天を恐れて」と表現しました。仏教では「法」という言葉で表されるのかもしれません。また神道では「道」と言うのかもしれません。「自分の良心に従って行動する」と言い換えられるのかもしれません。本校ではそれを「神の御前に、清く、正しく、愛深く」という言葉で表しています。

5月はマリア様の月です。聖母マリアが、周囲の価値観や尺度に振り回されず、身ごもったイエスを、大切に育んだように、あらためて自分が「何を大切にすべきか」を見きわめ、それを自分の中で育んでいけたら良いですね。

(5月7日、放送朝礼より。写真と本文とは関係がありません。)

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