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News 清泉メッセージ
清泉メッセージ
201606.09
No99「新聞の記事やコラムにはたくさんのヒントがある」
私は社会科の担当なので、きょうは最近のニュースの話題からお話ししたいと思います。 先日、北海道で、「しつけ」のつもりで置き去りにされてしまった小学生が行方不明になり、無事保護されたというニュースがありました。これをきっかけに、子どものどこまでが「しつけ」で、どこからが「行き過ぎたしつけ」なのか、話題になっているようです。つい先日の朝日新聞の記事を、少し紹介します(一部要約)。
親が「行き過ぎた」しつけをしてしまうのは、なぜなのか。
男の子の育て方を専門とする、小崎恭弘・大阪教育大准教授(保育学)は「最近は、子育てに完璧さを求める親が増えている」と指摘する。「少子化で子どもがいる家庭が少数派になった。昔なら『まあいいか』と許されたことも、『親がなってない』などと批判の対象になり、きまじめな親ほど過剰なプレッシャーを感じている。今回の件も、『ちゃんと生きていけるように』という思いが勇み足になっており、気の毒な面はある」という。
小崎さんがしつけのイメージでよく使うのが、裁縫で仮縫いに使う「しつけ糸」。「細く弱い糸でゆるやかに縫い、最終的に社会に出る時に形ができればいい。いきなり本縫いをするような子育てが増えているけど、生き方を学んでいる途中の子どもが、失敗するのは当たり前。怒ってもいいけど、追い詰めたらダメ。子育てには、『いい加減』くらいがちょうどいいんです」(仲村和代、伊東和貴)
この記事を読んで、成果を急いだり、批判されないよう手っ取り早く表面ばかりをとり繕うのではなく、気長にじっくり成長を支えていくことが、大切だなあと、改めて思います。
中学高校生にとって、子どもを育てる側にたつのはまだ先のはなしですが、「生き方を学んでいる途中」の段階ということで、参考になることもあると思います。ときに失敗も繰り返しながら、しかし、目先の評価やすぐに表れる成果だけにとらわれずに、自分がどのような人間になりたいのか、何を学んで、どのように生きていきたいのか、じっくり考えて、自分の生き方を見つける。清泉での3年、または6年間をそんな風にすごしてもらいたいと思います。
最後に、こんな風に気になるニュースがあったら、そのニュースの背景にある現代の社会についても考えることができるとよいですね。新聞の記事やコラムにはたくさんのヒントがあるのでおすすめです。
(6月9日、放送朝礼より。写真と本文とは関係ありません。)